犬のストレス 〜獣医師が伝える愛犬のストレスサインと5つの発散法〜


犬のストレスの原因と解決法

犬は人間と同じように、日頃多くのストレスを受けています。

特に不快ストレスは、生活の質を落とすだけでなく、多くの病気を引き起こしてしまいます。

 

・愛犬にとって何がストレスの原因となるのか?
・愛犬のストレスを発散させるには何をすればいいのか?

 

これらの疑問を解決することで、愛犬をストレスから守ることができるのです。

この記事では、犬のストレスの原因と解決方法について獣医師の視点から解説していきたいと思います。

 

犬のストレスの原因 〜環境から受ける犬のストレス〜

 

犬はとても敏感ないきものです。温度や湿度、光や臭いなど、環境から受けるストレスにはさまざまなものがあります。

 

● 強すぎる臭い

 

ご存知の通り、犬の嗅覚は人間とは比べものにならないくらい発達しています。

人間にとっては心地よいくらいの臭い、芳香剤などの香りは犬にとっては強すぎる刺激として感じられることもあります。

寝床など愛犬がリラックスできる場所に芳香剤などを置くことはオススメできません。

 

● 騒音や高周波音

 

工事現場や乗り物の騒音、電子機器などから発される音は、愛犬に恐怖心をもたらすことがあります。

犬は人間よりも高音域を聞くことができるため、

電子機器や家電製品などの高周波音がうるさかったり連続してなったりすると、

犬にとって大きなストレスになります。

また、工事の音や乗り物の音、機械音などは、犬にとっては意味がわかりません。

 

ヘビーメタルなどの突発的に大きな音がなる楽曲などもストレスの対象となります。

人間にとっては理解できる音ですが、犬にとっては「どうしてこんな不快な音がなっているんだろう?」と不安を煽ります。

これも精神的な不快ストレスにつながります。

自然に近い状態での暮らしも犬のストレスフリーライフには重要なことなのです。

 

● 不適切な温度管理

 

暑すぎや寒すぎる環境は、犬にとっては大きなストレスになります。

熱中症や低体温症などの病気につながる可能性もあるので、適切な温度管理を行いましょう。

特に屋外での飼育は注意が必要です。

 

● 明るすぎる室内

 

犬は明るすぎる空間を苦手とします。

薄暗いくらいが一番見えやすい環境です。

お部屋の照明が明るい場合は、照明の光が遮られている場所を用意してあげるといいでしょう。

犬と人間は知覚能力がまったく異なります。

犬と快適に暮らすのであれば、人間中心ではなく、犬と人間双方が心地よく暮らせる環境を目指しましょう。

 

 

犬のストレスの原因 〜欲求不満によるストレス〜

 

犬には人間と同じように「欲求」があります。

 

欲求不満になると、問題行動を起こす犬もいます。

動物飼育でも「ストレスマネジメント」という言葉を使うことができます。

ここでいうストレスマネジメントとは、ペットが受ける不快ストレスをできるだけ少なくして、

生活の質を上げるよう管理することです。

犬の欲求を理解してストレスマネジメントを行いましょう。

 

● 犬の欲求とは?

 

人の欲求を説明するものとして有名なのが「マズローの欲求五段階説」です。

 

1;生理的欲求
2;安全欲求
3;親和欲求
4;承認欲求
5;自己実現欲求

 

基本的に欲求は1から段階的に満たされていきます。

しかし、人間は複雑な精神をもっているので、3が満たされているのに1は満たされていないということもあります。

 

これにちなんで、イギリスのNatural Animal Centerが開発した犬の欲求階層があります。

 

1;生命の安全
2;飲食
3;健康管理
4;睡眠と休息
5;運動と遊び
6;探索活動
7;縄張活動

 

こちらも基本的には1から順に欲求が満たされていきます。

 

● 犬のストレスマネジメントで注意すべき欲求

 

よくある見落としがちな欲求として「探索活動」があげられます。

 

散歩の時に路肩や草むらの匂いを嗅ぎながら歩く行動がまさにそれです。

探索活動が満たされないと問題行動を起こすこともあるほど、犬にとってとても重要な欲求なのです。

経験したことのない刺激に触れることで、探索欲求は満たされます。

ずっと家で生活させるのではなく、違うルートを散歩してみたり、自由に歩かせてみたり、ドライブや旅行に連れて行ったり…。

愛犬が喜びそうなことは積極的にやってあげましょう!

 

また、「運動と遊び」を満たせていない犬も多く見かけます。

日本では小型犬飼育頭数が圧倒的に多いため、

犬にとっての「運動」の重要性があまり理解されていない傾向にあります。

ただ歩くだけの散歩では、運動欲求は満たせません。

走らせたりスキンシップをとったりして愛犬と一緒に遊びましょう!

そうすることで愛犬だけでなく、飼い主も健康なライフスタイルを手に入れることができます。

 

もちろんこれらの欲求の他にも

 

・飲食;食事と水は充分足りているか?
・睡眠と休息;寝たい時に寝れて、休みたい時に休める環境か?

 

これらの基本的な欲求についても、改めて確認してみてください。

意外と満たせていない欲求があることに気づくかもしれません。

 

 

犬のストレスの原因 〜同居の動物や人間からくるストレス〜

 

一緒に暮らす動物や人間との関係が悪化すると、大きなストレスになります。

特に動物同士は仲が良くなることもあれば、命に関わるほどの大げんかをすることだってあります。

 

● 家族の増加

新しく犬を家族に迎えた場合、飼い主の愛情は新しく入った子に向きがちです。

すると、先輩犬は不安を覚えます。

これは人間の赤ちゃんが生まれても同じです。

遊びやスキンシップの時間が減ると、欲求不満につながり、新しい家族に攻撃したり、

過度なストレスサインを出すこともあるので、愛犬への愛情を忘れないようにしましょう。

 

● 家族同士の不仲

飼い主同士が喧嘩をすると、愛犬も不安になります。

時には飼い主のストレスの矛先が愛犬に向けられることもあるのです。

愛犬は時にパニック状態になることもあります。

喧嘩するなら別の部屋でやりましょう笑

それ以前に、家族円満で飼い主のストレスを最小限にして楽しい生活を送りましょう!

 

● 分離不安症

分離不安症とは、飼い主がいなくなった時に愛犬が不安になりパニック症状に陥ることをいいます。

飼い主が帰ったら、ゴミ箱はひっくり返っていて、カーテンは引きちぎられていて、

書類がバラバラにされていて…相当ストレスになっているはずです。

分離不安症の大きな原因は、飼い主への過度な依存です。

 

「犬の分離不安症」についてもっと詳しく書いた記事もありますので、そちらも併せてご覧ください。

 

 

ストレスマネジメント 〜5つのストレス解消法とは?〜

 

犬のストレスマネジメントでは、ストレスの原因を取り去ってあげることが最も効果的な手段です。

 

【ストレス解消法 1 】環境マネジメント

臭いや騒音、強い光の排除や適切な温度管理など、環境をしっかり整えることが重要です。

環境は生活の基礎です。

愛犬と飼い主がお互いに住みやすい環境づくりを目指しましょう。

 

【ストレス解消法 2 】欲求を満たそう

また、犬の欲求をただしく理解して、上記の「7つの欲求」を満たせるライフスタイルにしていきましょう

 

散歩の仕方を変えるだけでも愛犬の反応は大きく変わります。

ただ歩くだけの散歩に運動や遊びを加えたり、充分な時間をとって道草させてみたり、

今までと違う散歩コースを選んでみたり…きっと愛犬は喜んでくれるでしょう。

「散歩の仕方」についても詳しく書いた記事をご用意しているので、そちらも併せてご覧ください。

 

また、今までよりもスキンシップを意識してみましょう。

あまりスキンシップをとってこなかったとしたら、少しずつ愛犬と触れ合う時間を増やしていきましょう。

逆に人間中心で考えた強引なスキンシップをしてきていると感じているのであれば、

少し優しく犬の気持ちに寄り添ったスキンシップをとってみましょう。

正しいスキンシップは愛犬と飼い主双方で「セロトニン」という幸せホルモンが分泌されます。

心身ともに健康な生活になることでしょう。

 

【ストレス解消法 3 】同居からくるストレスの排除

新しく家族を迎えた時でも、今までよりもより一層愛情を注いであげましょう。

 

そして、新しい仲間を紹介するように振る舞うといいでしょう。

どうしてもうまく馴染めない場合は、喧嘩をして怪我をしてしまうこともあるので、

一度離して生活させることも大切かもしれません。

家族同士が円満で幸せに暮らすこと、これが一番です。

 

【ストレス解消法 4 】飼い主がストレスフリーの状態になること

実はこれが一番大事かもしれもしれません。

飼い主がストレスの多い状態だと、愛犬もそれを察します。

愛犬は常に飼い主のことを観察していると思ってください。

飼い主が大きなストレスを抱えていると、愛犬も同様にストレスを感じてしまうのです。

そんな時は、愛犬と一緒に遊んだりスキンシップをとることで、ストレスを発散しましょう。

飼い主と愛犬両者のストレスを同時に発散することができるでしょう。

 

【ストレス解消法 5 】カーミングシグナルでストレス軽減

「カーミングシグナル」とは非音声的言語のひとつで、犬に備わっているコミュニケーションツールです。

「Calming=落ち着かせる」「Signal=信号、合図」という意味からも分かる通り、「落ち着かせるための合図」という意味です。

犬同士のコミュニケーションには必要不可欠であり、このシグナルを利用して、愛犬の感情をある程度読み解くことができます。

カーミングシグナルを理解して愛犬のストレスマネジメントをすることもできるので、もしよかったら参考にしてみてください。

 

「犬のカーミングシグナル」についても詳しく書いた記事をご用意していますので、併せてご覧ください。

 

 

犬のストレスマネジメントで心身ともに健康ライフを!

ストレス社会と呼ばれる時代、その波はペットにも押し寄せています。

飼い主がストレスを抱えると、その飼い主の感情や行動から、愛犬もストレスを抱えてしまいます。

ただし、愛犬を正しくしつけて健康に生活すると、飼い主のストレスも軽減されます。

犬にはそんなチカラもあるのです。

愛犬とともにストレスフリーな関係でいること。実現すればそれは最高な人生になるのではないでしょうか!?

 

また、愛犬のストレスを見つけるノウハウについてはこちらの記事をご覧ください。

【犬のストレス発見法 〜獣医師が使う愛犬のストレスサインの見つけ方〜】

 

本記事と関連のあるサイトはこちらです。参考にしてください。

【犬の欲求について 〜欲求を満たして愛犬を幸せにしよう〜】←近日公開!

【犬の分離不安症 〜飼い主ができる解決法とは?〜】←近日公開!

【犬の散歩を改善!獣医師が勧める散歩に取り入れたい3つのポイント】

【犬のカーミングシグナル 〜犬の気持ちを理解する方法〜】