猫の肥満と病気を獣医師が解説!〜猫の肥満が引き起こす8つの病気とその解決法〜


猫の肥満は病気につながる!

 

愛猫が肥満だと、それだけで死亡率が上がってしまうことはご存知ですか!?

肥満症だと、それだけで多くの病気を招いてしまいます。

中には命に関わる重篤なものや、手術が必要な病気もあります。

「うちの猫はちょっと太らせたい!」というポリシーをもつ愛猫家もいらっしゃいますが、

肥満症であることのリスクはすべての飼い主が知っておきましょう。

ここでは、そんな肥満猫がおこしやすい病気について解説していきます。

 

猫の肥満症でなりやすい8つの病気

【猫の肥満による病気 1 】猫の肝リピドーシス(脂肪肝)

「肝リピドーシス」は命に関わる疾患です。

猫が食欲不振になったり、数日間絶食したりすると起きてしまいます。

肝リピドーシスとは、肝臓に脂肪が過剰に蓄積することで肝機能障害を起こす病気です。

代表的な症状として食欲減退や嘔吐下痢、黄疸などがあげられます。

肥満猫では肝リピドーシスのリスクが非常に高いです。

また、肥満だからといって極端なダイエットをさせると、空腹状態が持続して肝リピドーシスを誘発します。

体重管理は徐々に進めていきましょう。

 

【猫の肥満による病気 2 】糖尿病

過剰な食事をとってしまうことでインスリンの大量分泌が繰り返されます。

すると、インスリン抵抗性ができてしまい、エネルギーを効率よく細胞内に取り入れることができなくなります。

こうして高血糖が持続されるのが「糖尿病」です。

猫では早期発見すれば寛解しますが、治療が遅れると一生涯インスリン補充療法をしなければならなくなります。

注入するインスリンの濃度も病気の程度によって変えていかなければならないので、定期的な検診が必要不可欠となります。

経済的、時間的、精神的な負担が一生涯続いてしまいますし、何と言っても健康寿命が短くなってしまいます。

 

【猫の肥満による病気 3 】心疾患

体脂肪率が上昇して体重が増えると、心臓や血管への負担が増加します。

基本的に心疾患の根治は難しく、悪化してしまうと生活の質が格段と下がってしまいます。

場合によっては、死に至る恐ろしい疾患です。

 

【猫の肥満による病気 4 】呼吸器疾患

体脂肪が増加すると、物理的に気道が圧迫されて呼吸がしづらくなります。

こちらも生活の質を下げるものであり、場合によっては命に関わる症状を引き起こします。

 

【猫の肥満による病気 5 】骨格の疾患

体重増加により、足腰などへの負担が大きくなります。

猫はよく運動するいきものです。

体重増加によって運動する際に関節や筋肉を痛めてしまうリスクが上がってしまいます。

具体的には、

・関節炎

・椎間板ヘルニア

・筋肉などの軟部組織の炎症

・腱の断裂

・骨折

などがあげられます。

ペットの体重を人間基準で考えてしまうことはとても危険です。

たとえば、4kgだったねこちゃんが肥満症になってしまい5kgになったとします。

人間基準で考えると1kgの増量を軽視してしまう方もいらっしゃいますが、この場合40kgであった人間が50kgに増量したことに匹敵します。

こうなると、運動好きな猫にとって関節や骨に影響が出ないわけがありませんよね?

 

【猫の肥満による病気 6 】皮膚疾患

肥満症が進むと皮膚病が発生することがあります。

これは、体型の変化でグルーミングの効率が悪くなることが原因とされています。

皮膚病はとてもストレスフルな病気です。

そのストレスから他の病気を誘発することも考えられます。

肥満症がさらに進行して歩行などの基本的な運動能力に影響がでると、褥瘡ができてしまうこともあります。

 

【猫の肥満による病気 7 】猫の下部尿路疾患(膀胱炎や尿石症、尿路閉塞)

肥満症の猫はトイレの回数が少なくなる傾向にあります。

膀胱での尿貯留が増えることで、膀胱炎や尿石の形成が起こりやすくなります。

また、膀胱炎を放置すると血餅や尿石が形成されやすくなり、尿道につまって尿道閉塞症を引き起こすことがあります。

・運動不足

・気温の低下

・飲水する機会の減少

これらも飲水量や尿の回数を減らす要因としてあげられます。

 

猫の下部尿路疾患は本当に多い病気です。

冬場を中心に夜間救急では多くの猫ちゃんがこの病気で来院してきます。

放っておけば命を落とす疾患なので、要注意です!

 

【猫の肥満による病気 8 】口腔内疾患(歯石症や歯周病)

研究論文によると、肥満症と口腔内疾患には関係性があるとのことです。

有意差はしっかりとれていますが、詳しい理由についてはまだ解明されていません。

しかし、猫の口内炎は食欲低下に直結し、上記の「肝リピドーシス」のリスクをあげてしまいます。

口臭もひどくなり、多くの飼い主さんはスキンシップの量を減らしてしまうので、予防医学的にもよくありません。

 

猫の肥満症を治療・予防しましょう。

我が家の愛猫の体型はいかがでしょうか?

もし肥満症なのであれば、ダイエットの必要性があります。

しっかり体重管理して愛猫を病気から守ってあげましょう。

「うちの子はまだ肥満ではないです」という愛猫も、年齢を重ねるうちに肥満症になる可能性もあります。

高齢になると病気になる可能性も増すので、今のうちから体重管理を意識しましょう。